どこまでも走り回って飛び回れる。どこでも爪とぎができて、お昼寝の場所もオモチャもたくさんのジャングル。猫にとってこれほど幸せな環境があるだろうか?

180万円かけて自作した最高の猫の遊び場ジャングル
カナダのエドモントに住む28歳のソフトエンジニア、ヒルトンは猫2匹のために地下に遊び場を自作した。
持ち金全部、そしてクレジットカードを上限まで使った。かかった総額は約180万円。

骨組みだけの地下室に、カーペットを敷き、壁をつくり、音響を整備し、棚を入れ、キャットタワーをつくった。電気配線工事以外のほとんど全てを自分で行った。
決してDIYが得意だったわけではない。むしろ、まったくの初心者だった。

完成まで4ヶ月を要した。できあがったのは、猫が部屋中を好きなだけ走り回り、飛び回って遊べる地下ジャングルとなった。

このジャングル、自分の猫のために作ったものではない。
昨年2月に亡くなった弟・ボストンとその愛猫に捧げたものだった。
天国の弟に捧げた猫ジャングル
ヒルトンの弟、ボストンは昨年24歳の若さでこの世を去った。PTSD(心的外傷後ストレス障害)による自殺が原因だった。
ボストンは大の猫好きだった。一緒に暮らしていた猫、ベンガルのベンジとナラを何よりも大事にしていた。

ボストンが亡くなった後、2匹を引き取ったヒルトンは決して2匹を離さないこと、そして2匹がボストンのことを忘れないようにすることを誓った。
ジャングルの壁の1つには、ボストンの遺影をLEDライトで飾った。これで、2匹はいつでもボストンを感じることができる。

天国の弟が喜ぶこと、それは猫が喜ぶこと
ヒルトンがジャングルを作った理由は、「弟のために何かしたかった。それも彼が絶対喜ぶことをね」。
弟は猫のベンジとナラを愛してやまなかった。それなら、猫が喜ぶことなら、弟も喜ぶと思った。
ジャングルは2匹が好きなことを徹底的に詰め込んだ。活発で弟ボストンの部屋の壁に穴をいくつもあけていたベンジのために、直接壁をよじ登ることができるようにした。
どこまでも走って飛んで、お昼寝ができて、爪とぎができて、おもちゃで遊べるジャングルは、猫のベンジとナラの大のお気に入りになったという。

ヒルトンは完成したジャングルについてこう話す。
「弟が亡くなった後、しばらくは喪失感で何もしたくなかった。でも、ジャングルを作っているときは、気持ちが軽くなった。
ジャングルが完成したとき、思わず泣いてしまったんだ。あまりにも完璧にできたから。これなら天国の弟も間違いなく喜んでくれるだろうなって。
完成した今も、できるかぎりの時間を猫とここで過ごすようにしているよ。猫のベンジとナラが遊んでいる様子を見ていると、前に進める気がするんだ。2匹が喜んでいる様子を見たら、弟は絶対喜んでくれる。お金は全て使っちゃったけど、何も後悔していないよ。
もしもまた弟ボストンと会うことができたら、ハグをして愛していると伝えるよ。あと、猫のベンジとナラのために最善を尽くしていること、そして2匹のことも大好きだと言うこともね。」
ヒルトンは今後も、オモチャやハンモックを追加したり、裏庭を眺めることができる道を作ったりして、ジャングルの改良を続けていく予定だと言う。そのための資金集めのページも用意し、現在までに約30万円が集まった。
猫のベンジとナラは間違いなく幸せだ。だから弟ボストンよ、天国で安心して見守っていてほしい。
