炭で汚れた大きな体、仏頂面な顔。
機関車のガンコ親父を地で行くネコがいる。
鉄道博物館で働く非公式・ネコ館長
アメリカにあるネバダノーザン鉄道博物館(The Nevada Northern Railway Museum)は砂漠の中にある、昔ながらの蒸気機関車を展示・紹介している博物館。
非公式に館長を務めるのは、そこで生まれ育った猫のダート。

11年前に博物館で生まれ、野良だった母ネコに置いて行かれてしまった。
以来、博物館の職員さんたちによってお世話がされているが、今や博物館にとってなくてはならない存在のネコ館長になった。
いっつも炭まみれ、だけどそれがいい!
ダート(Dirt:汚れ)という名がピッタリだ。

なんでも、エンジンルームの炭の上でゴロゴロスリスリするのがお気に入りらしい。そりゃ汚れるよね。
長年の炭汚れが重なり、もともとは綺麗な白とオレンジ色の毛だったというが、今では「本当に?」と言いたくなるほど、全体的にとっても汚れていてもともとの毛の美しさはどこにも感じられない。
本来、ネコは綺麗好きで毎日ペロペロと毛づくろいするが、ダートはそれすらもしないという。

まさに鉄道ガンコ親父みたいな人気者
不機嫌そうな表情も、なんだか哀愁漂うものがある。
「鉄道会社で働いてる頑固ものの親父が、一日中エンジン触ってたらきっとこんなんだよね」というのを感じずにはいられないその風貌が、鉄道博物館の雰囲気に妙にシックリくる。

毎日の博物館の見回りに忙しいダート。お仕事をするダートの様子は「機関車の点検をするみたいだ」、と職員さんは言う。
博物館がSNSでダートを紹介すると、たちまち人気者になった。周囲30キロ以上に何もない、砂漠の真ん中にある博物館に、お客さんがたくさん来るようになった。

ダートの製品で溢れている博物館内のお土産ショップに足を運べば、いかにダートが愛されているかがわかる。

こんなに、この博物館にしっくりくるネコ、他にはいないだろう。ダートがここで生まれ育ったのは、何かの運命だと感じずにはいられない。
鉄道博物館を象徴するネコ館長のダート、一度は会いに行きたい!
写真:TFN media