ジェームズ・ボーエンさんはイギリス・ロンドン在住のミュージシャンであり作家。一緒に暮らしているのは、茶トラ猫のボブ。
この2人が起こした奇跡はあまりに有名ではあるが、今一度その物語を振り返ってみたいと思う。

ホームレスの青年が出会った猫
ジェームズさんは、18歳の頃にロックミュージシャンになることを夢見て地元を飛び出し、ロンドンでストリートミュージシャンとして活動を始めた。
しかし、思ったようにお客さんはつかず、お金は底をついて路上で生活するホームレスに。それから数年間も、路上で暮らし、寝る生活が続いた。
そしてついにはドラッグに手を出し、溺れ、中毒になり、路上で行き倒れになってしまう。
猫と出会ったのは、夢が破れた、まさに人生のどん底だったその頃。2007年のある日、ジェームズさんはケガをした茶トラの野良猫を見つけた。
自分も、猫も、行く場所はない
幼い頃、猫と暮らしていたジェームズさんは、猫が大好きで、放っておくなんてできなかった。猫を病院に連れていって、治療した。当日の1ヶ月分の収入は約30ドル、それ全部が猫の治療費に消えた。
数週間かけて、無事に猫は元気になった。このまま一緒に暮らしたいが、猫と生活することはそれなりの責任が伴う。それをよく知っていたジェームズさんは、猫の里親になってくれる人を探したが、見つからない。ついには、猫を手放すことを決意。
元気になった猫を置いてきた。苦しいけど、悲しいけど、それがお互いのため、そう自分に言い聞かせた。

でも、猫はジェームズさんを追ってきた!バスに乗るジェームズさんの後を追って、バスにも乗り込んできた。
猫を見てジェームズさんは「この猫も、自分と同じように、どこにも行く場所がないんだ」と思ったという。そして、行く場所が無いもの同士、一緒に生活することを決意する。

ハイタッチ!で起きる奇跡
ジェームズさんは茶トラの猫を「ボブ」と名付けた。
ボブはどこに行っても冷静で、人混みのなかでも多少音がうるさくても動じない。むしろ、ジェームズさんの隣は絶対に譲らなかった。
オシャレなマフラーを巻いて、ジェームズさんと一緒にストリートライブをすることが日課になった。

そして演奏が終わったあとはジェームズさんと「いい感じだったね!」のハイタッチ。

猫が参加するストリートライブと、かわいすぎるハイタッチは行き交う人々の注目を集め、どんどん有名になった。収入は、何倍にもなったという。

のちにジェームズさんはこの頃の心境を「ボブの世話をするという責任感が、自分に生きる力を与えてくれた」と話す。
また、「ボブが自分を必要としてくれている、だから元気でいなきゃ」と、薬物依存から抜け出すこともできた。
書籍化・映画化が実現、猫が変えてくれた人生
完璧すぎる2人、その様子が編集者の目に留まった。
そして、2人の物語は2012年に「A Street Cat Named Bob」という一冊の本になり、世界28カ国で30もの言語に翻訳され出版された。日本でも「ボブという名のストリート・キャット」というタイトルで出版され、感動を呼んだ。

これの本が世界中で大ヒット。イギリス国内だけでも100万部以上、世界中では900万部を超える大ベストセラーになった。映画化もされ、日本でも2017年に公開された。
その後もジェームズさんはボブについての本をいくつか執筆。元ホームレスの売れないミュージシャンだった頃からは、想像できない。

ジェームズさんとボブの出会いは、必然だったようにしか思えない。お互い行く場所がなく、身を寄せ合ったら、完璧な相棒同士だった。
次に2人が起こす奇跡は何だろう?
Source:StreetCat Bob
最後まで読んでくれてニャりがとう♡こっちも読んでみて。
▼ 人間の運命を変えた、伝説となった猫たち。
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